スポーツをすると腰痛になる?運動療法やリハビリ・治療法を解説
スポーツと腰痛の関係性について気になる方がいるのではないでしょうか。
スポーツによっては、腰に負担がかかるため、腰痛を引き起こすのではないかと心配する方がいるかもしれません。
本記事では、スポーツと腰痛の因果関係や、腰痛対策となる運動療法やリハビリ、治療法を解説します。
腰の痛みが気になる方や、今のうちから予防をしておきたい方はぜひ参考にしてみてください。
【目次】
スポーツをすると腰痛になる?
腰痛が発生する場所と痛み伴う疾患
椎間板ヘルニア
腰椎分離症
棘突起間インピンジメント障害
腰痛になりやすいスポーツ
腰痛の運動療法
ドローイン
下向きブリッジ(上肢挙上)
下向きブリッジ(上下肢挙上)
腰痛のリハビリテーション
腰を反ると痛みが出る場合のリハビリテーション
前にかがんだときに腰が痛い場合のリハビリテーション
腰痛の治療法
治療における基本的な考え方
原因別治療(機能評価に基づくアプローチ)
薬物療法(対症療法)
治療戦略のポイント
専門的評価の重要性
スポーツをする方は腰痛対策を心がけよう
スポーツをすると腰痛になる?

スポーツをしている方の中には、「運動すると腰が痛くなる」「プレー後に違和感が残る」といった経験をされる方も少なくありません。
腰痛は日常生活だけでなく、スポーツパフォーマンスにも大きく影響するため、原因を正しく理解し、適切に対処することが重要です。
スポーツをすると、激しい体幹運動や無理な姿勢によって腰部にストレスが加わります。その結果、筋繊維の損傷や筋付着部の炎症が起こり、腰痛が生じる場合があります。
特にスポーツ選手の場合、腰の回転や反り、ひねりなどを頻繁に繰り返します。そのため、炎症が起こったり、腰部の骨や軟骨がすり減ったりして変形することがあります。
普段からスポーツをする習慣がある方は、腰痛のリスクを踏まえ、十分なトレーニングやストレッチを心がけることが大切です。
なお、腰痛の原因の多くは、画像検査では異常が見つからない「非特異的腰痛(いわゆる筋筋膜性腰痛)」とされ、全体の約8割を占めるといわれています。
このタイプの腰痛はレントゲンでは原因が特定できないことが多く、筋肉や筋膜の機能異常が関与していると考えられています。特にスポーツによる腰痛の多くもこれに該当します。
そのため、評価においてはレントゲンだけでなく、エコー(超音波検査)を用いて動きの中で状態を確認することが重要です。
エコーでは、筋肉や筋膜の状態、筋線維の損傷の有無をリアルタイムで観察できるだけでなく、体幹を動かしながら評価することで、痛みの原因となる部位や動作の問題点をより正確に特定することが可能です。
治療としては、運動療法やストレッチに加え、筋膜へのアプローチ(ハイドロリリース)や、組織の修復を促す体外衝撃波療法などが選択されることもあります。
スポーツによる腰痛が続く場合は、こうした専門的な治療に対応しているクリニックでの評価を受けることも重要です。
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腰痛が発生する場所と痛みを伴う疾患

腰痛は、大きく分けて筋肉と関節に生じます。
筋肉の痛みは、筋肉の疲労や筋筋膜の障害によって起こる痛みと、筋肉と骨の境目が痛くなる筋付着部障害があります。関節の痛みは、椎間板、椎間関節、仙腸関節の痛みに分けられるのが特徴です。
上記以外の腰痛としては、以下が挙げられます。
- 椎間板ヘルニア:椎間板が飛び出して神経を刺激し、腰痛や下肢の痛み・しびれを引き起こす
- 腰椎分離症:骨に疲労骨折が起きている状態
- 棘突起間インピンジメント障害:腰の骨の突起同士がぶつかり合って痛みを引き起こす
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、椎間板に負担がかかり、椎間板内部にある髄核と呼ばれる組織が外に飛び出し、神経にぶつかった状態です。
椎間板は背骨にあり、骨と骨の間でクッションの役割をしています。背骨は頚椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)に分類され、その骨と骨の間のすべてに椎間板が存在します。
神経がダメージを受けると、腰や下肢に痛みが生じたり、力が入らなかったりといった神経症状が起こります。
椎間板ヘルニアは、症状や身体診察、レントゲン、MRI検査などで診断します。MRI検査でも診断が難しい場合、造影剤を使用した検査や、診断の目的でブロック注射などをおこなうケースもあります。
痛みが非常に強い場合や、数ヶ月にわたって保存療法をおこなっても痛みが治まらない場合は手術が必要です。
手術をすることで痛みを早く取り除くことが可能ですが、一定の確率で合併症が起こるリスクもあるため、医師と相談して治療方針を決める必要があります。
手術する場合、背中側からヘルニアを取る手術をおこないます。手術は顕微鏡や拡大鏡、内視鏡を使ったものなどがあり、何度も繰り返す場合は金属を挿入して背骨を固定する手術が必要です。
腰椎分離症
腰椎分離症とは、骨に疲労骨折が起きている状態であり、多くはジャンプや腰をひねることで腰椎の後方部分に亀裂が入って生じます。
特にスポーツの練習などで繰り返し腰椎を反らしたり、回したりすることで起こるとされ、スポーツ選手では30〜40%の方が分離症を発症するとされています。
腰椎分離症の診断は、側面や斜めのレントゲン検査でおこないます。
腰椎分離症になっても、ほとんどの場合は強い痛みが起こることがなく、日常生活にも支障が出ることはあまりありません。基本的には、腹筋や背筋を強化し、一般的な腰痛予防に努める必要があります。
一方で、腰痛や神経根圧迫によってお尻や下肢の痛みが生じ、日常生活に支障が出る場合は、神経の圧迫を取り除くための手術や固定術が必要です。
棘突起間インピンジメント障害
棘突起間インピンジメント障害とは、棘突起と棘突起の間が狭まり、その周辺組織が挟み込まれたり圧迫を受けたりする状態です。
棘突起は、背骨の後方部分にあたるため、腰を後ろに反らせた際に腰の真ん中に痛みが出る場合は、棘突起間インピンジメント障害を疑います。
また、腰をひねったときや、斜めに反らせたときに痛みが出る場合は、他の疾患も併せて精査する必要があります。
治療法としては、胸椎・胸郭の可動性向上を目的としたストレッチや、腸腰筋の柔軟性の改善を目的としたストレッチが必要です。
腰痛になりやすいスポーツ

スポーツでは、腰を反らしたり曲げたりといった動作を繰り返します。そのため、腰の関節や筋肉、筋膜、靭帯に負担がかかり、腰痛を引き起こす可能性があります。
特に腰痛を引き起こしやすいスポーツとしては、以下が挙げられます。
| 腰痛になりやすいスポーツ | 概要 |
| 野球 | 野球では、球を投げたり、バットを振ったりする動作が含まれるため、腰をひねる回数が多くなる。 |
| バレーボール | バレーボールでは、レシーブによる中腰姿勢の反復により、体幹筋に長時間の負荷がかかる。また、スパイクでは腰の筋肉や筋膜の負担で障害の発生リスクが高くなる。 |
| ゴルフ | ゴルフのスイング動作では腰をひねるため、腰に負担がかかる。特に右打ちの方の場合、腰の右側に痛みが出る傾向がある。 |
| 水泳 | 泳ぐうえで、腰を大きく反らせる動作が多いため、腰に負担がかかり痛みが起こる可能性がある。 |
| バスケットボール | 突発的な方向転換や接触プレーなどが想定されるため、腰にも負担がかかる可能性がある。 |
腰痛の運動療法

あらゆるスポーツには、腰痛の危険が潜んでいます。そのため、普段から体幹を鍛えることが大切です。
以下の方法を取り入れ、腰痛対策にチャレンジしてみてください。
ドローイン
膝を立て、仰向けに寝た状態で腰骨のやや内側に指を当て、おへそを床に近づけるようにお腹を引き込みます。
このとき指を当てた部位の筋肉(腹横筋)が硬くなっていることを確認しましょう。
問題なければ1回10秒程度で3〜6セットをおこなってください。
下向きブリッジ(上肢挙上)
手と膝をつき、四つん這いになった状態で背中が反らないようにおへそを軽く引き込みます。
次に片方の手を挙げましょう。そうすることで腹筋が働きます。
この状態を1回片側10秒程度で3〜6セットおこないます。この姿勢で体がぐらつかず楽に10秒程度保てるようになったら、以下の下向きブリッジ(上下肢挙上)に進んでください。
下向きブリッジ(上下肢挙上)
挙げている手と反対側の足を挙げることで足側の背筋(多裂筋)も働きます。
この姿勢を保持するために、1回片側10秒を3〜6セットおこないましょう。慣れてきたら、1回片側30秒を2セットおこないます。
腰痛のリハビリテーション

スポーツをするときに正しく体が使えていない場合、腰に負担がかかり、腰痛が起こります。
腰に負担をかけないためには、正しいエクササイズやストレッチが必要です。
腰を反らしたときに痛みが出る方や、前にかがんだときに痛みが出る方は以下のリハビリテーション方法を実践してみてください。
腰を反ると痛みが出る場合のリハビリテーション
腰を反ると痛みを感じる場合は、背骨全体を大きく動かし、負担が一箇所に集中しないようにするため、ストレッチや腹筋の強化が必要です。
主に以下3つを意識して取り入れてみてください。
| 対処法 | 概要 |
| 背骨を反らすストレッチ | うつ伏せの状態で腰を反らせないように腹筋を入れ、肩甲骨を寄せて頭から首、背中へ順番に持ち上げて胸椎部を伸ばし、背骨を反らす。 |
| 腹筋強化 | 仰向けの状態でおへその下に力を入れ、お腹をへこませる。次に頭を持ち上げ、おへそを覗き込み、最後に尾骨を持ち上げる。その後、5秒くらい数えてからゆっくり戻していく。 |
| 股関節のストレッチ | まっすぐ立った状態で片足の甲を手で持ち、お腹に力を入れて腰が反らないように注意しながら、両膝を寄せた状態で膝を曲げる。このとき、腰を反らせないようにするのがポイント。 |
前にかがんだときに腰が痛い場合のリハビリテーション
前かがみになった際に痛みを感じる場合は、腰の骨や筋肉に負担の少ない体の使い方を身につけることが大切です。
主に以下のストレッチ・エクササイズを取り入れてみましょう。
| 対処法 | 概要 |
| 体幹筋エクササイズ | 四つん這いで、肩甲骨を寄せ、おへその下に力を入れた状態で骨盤が左右にぶれないように注意しながら片足を後ろに持ち上げる。腰が左右に動かないように注意するのがポイント。 |
| ハムストリングスのストレッチ | 座った状態で両腕を床に平行にして前に出し、お腹に力を入れて骨盤を前に傾け、ハムストリングスを伸ばす。このとき、背中が丸まると痛みが出るため注意が必要。 |
腰痛の治療法

治療における基本的な考え方
腰痛の治療において重要なのは、「痛みを抑えること」と「原因にアプローチすること」の両方をバランスよく行うことです。
腰痛の多くは、筋肉や筋膜、関節、神経などさまざまな要因が関与しており、原因となっている部位に適切にアプローチすることで、再発を防ぎ、根本的な改善を目指すことができます。
一方で、痛みが強い状態が続くと、日常生活の質(QOL)は大きく低下します。
動くこと自体がつらくなり、活動量の低下や筋力低下、さらには慢性化につながる可能性もあります。
そのため、治療の初期や痛みが強い時期には、薬物療法を併用して痛みを適切にコントロールすることが重要です。
薬物療法はあくまで対症療法ではありますが、痛みを軽減することで運動療法やリハビリテーションを行いやすくし、結果として根本的な改善につながる役割を担います。
つまり、
- 原因に対する治療(運動療法、ハイドロリリース、体外衝撃波、神経ブロックなど)
- 痛みを和らげる治療(薬物療法など)
を適切に組み合わせることが、腰痛改善の鍵となります。
腰痛の原因や適した治療法は人それぞれ異なるため、自己判断だけで対処するのではなく、評価に基づいて自分に合った治療法を選択していくことが大切です。
医師と相談しながら、無理のない範囲で体を動かし、適切な治療を継続していくことが、症状の改善と再発予防につながります。
原因別治療(機能評価に基づくアプローチ)
① 筋・筋膜由来の腰痛(筋筋膜性腰痛)
非特異的腰痛の大半は筋・筋膜由来とされており、以下の治療が有効と考えられています。
- 運動療法(強い推奨)
- 温熱療法(急性期に有効)
- 体外衝撃波療法(慢性筋骨格系疼痛に対する有効性の報告あり)
- ハイドロリリース(エコーガイド下治療として近年普及)
特に、エコーを用いた評価により、筋膜の滑走不全や局所の異常を確認しながら治療介入できる点は、従来の画像検査にはない利点です。
② 神経由来の腰痛(神経根症・椎間関節由来)
坐骨神経痛など神経障害を伴う腰痛では、以下の介入が検討されます。
- 神経根ブロック
- 椎間関節ブロック
- 硬膜外ステロイド注射
これらは短期的な疼痛軽減に有効であることが複数のシステマティックレビューで示されていますが、長期効果については限定的とされています。
薬物療法(対症療法)
American College of Physicians のガイドラインでは、急性・慢性腰痛に対して、まず非薬物療法を優先し、それでも不十分な場合に薬物療法を併用することが推奨されています。
薬物療法は疼痛緩和を目的とした対症療法であり、根本原因への直接的介入ではない点に留意が必要です。
主な推奨は以下の通りです:
- NSAIDs(第一選択)
- アセトアミノフェン(安全性は高いが効果は限定的との報告あり)
- 筋弛緩薬(急性期に短期間使用)
- オピオイド(難治例に限定的に使用)
慢性腰痛では、抗うつ薬(特にSNRI)が有効とされる場合があります。
治療戦略のポイント
ガイドラインに共通する重要な考え方は以下の通りです:
- まず重篤疾患の除外(レッドフラッグ評価)
- 非薬物療法を基本とする
- 薬物療法は補助的に使用
- 原因に応じた個別化治療
特に、筋・筋膜、関節、神経といった「どの組織が原因か」を評価することが、治療効果を高め、再発を防ぐうえで重要です。
専門的評価の重要性
慢性的な腰痛やスポーツによる腰痛では、一般的な対症療法のみでは改善しないケースも少なくありません。
MTXスポーツ・関節クリニック
当院では、エコーを用いた機能評価と、原因に応じた治療(運動療法、ハイドロリリース、体外衝撃波、神経ブロックなど)を組み合わせたアプローチが可能です。
腰痛の原因や適した治療法は人それぞれ異なるため、自己判断だけで対処するのではなく、評価に基づいて自分に合った治療法を選択していくことが大切です。
医師と相談しながら、無理のない範囲で体を動かし、適切な治療を継続し、症状の改善と再発予防につなげましょう。
スポーツをする方は腰痛対策を心がけよう

スポーツをすると、激しい体幹運動や無理な姿勢によって腰部にストレスが加わり、腰痛が生じる場合があります。
特にスポーツ選手の場合、腰の回転や反り、ひねりなどを頻繁に繰り返すため、炎症が起こったり、腰部の骨や軟骨がすり減ったりして変形する可能性があります。
普段からスポーツをする習慣がある方は、腰痛のリスクを踏まえ、十分なトレーニングやストレッチ、リハビリなどを心がけることが重要です。
また、状況によっては医師に相談のうえ、薬物療法や温熱療法、神経ブロック・注射療法などの選択肢をとる必要もあります。