2023.07.05
【トレーナーが教える】プロ選手が実践する夏の過ごし方

夏を迎えるとともに、プロ選手たちが新たな季節の到来に向けて準備を始めています。 彼らは、厳しいトレーニングと競技のスケジュールに合わせて、自分のパフォーマンスを最大限に引き出します。このコラムでは、プロ選手が実践する夏の過ごし方についてご紹介します。
一般の人も陥る“夏バテ”
皆さんは“夏バテ”という言葉を聞いたことはあるでしょうか? “夏バテ”とは、夏の暑さや湿度、体力の消耗などが原因で、疲労感や倦怠感、食欲不振、だるさ、集中力の低下などを引き起こす状態を言います。 主な原因としては以下のような要素が挙げられます。
高温多湿の環境:夏の暑さや湿度の高い環境下で活動することにより、体温調節の負担が増し、疲労が蓄積します。
水分・電解質の不足:夏は発汗が増えるため、水分や電解質の損失が大きくなります。適切な水分補給を行わないと、脱水症状や体内のバランスの乱れが起きることで、倦怠感やだるさを感じることがあります。
食欲の低下:暑い季節には食欲が低下し、栄養不足や低血糖状態になることがあります。食事の量や質の変化により、エネルギー供給が不足し、疲労感が増すことがあります。
睡眠不足: 暑い季節は寝苦しい夜が続くことがあり、睡眠不足が起こりやすくなります。睡眠不足は疲労感や集中力の低下につながる可能性があります。
プロ選手も行う“夏バテ”の対策

“夏バテ”の対策は意外と簡単な方法で対策ができます。
■適切な水分補給
プロ野球選手は高強度の運動を行い、大量の汗をかくため、水分補給が非常に重要です。 適切な水分補給の方法は個人によって異なりますが、一般的なガイドラインでは、運動前に十分な水分を摂取し、運動中はこまめに水やスポーツドリンクを摂ります。 運動後も水分補給を続け、脱水症状を予防します。
詳しい水分補給の方法については以前のコラムで紹介させていただいておりますので、ご確認ください!
【スポーツドクター監修】熱中症予防のための適切な水分摂取方法とポイント
■適切な栄養補給
プロ野球選手は、比較的筋肉量も多く、エネルギーも多く消費するため、適切な栄養バランスの食事が重要です。 炭水化物はエネルギー源となり、たんぱく質は筋肉修復と成長に必要です。 ビタミンやミネラルもスポーツパフォーマンスに重要な役割を果たします。 個々の栄養ニーズに基づいて、適切な食事プランを提案し、選手のパフォーマンスを最適化します。
■適度な休息と睡眠
プロ野球選手は密度の高いシーズンスケジュールや長時間の移動により疲労が蓄積します。 十分な休息と睡眠は、体力の回復と免疫力の維持に不可欠です。適切な休息時間を確保し、睡眠の質を高めるために、快適な寝具や睡眠環境の整備、睡眠前のリラックスする習慣を取り入れます。
特に夏場はそれに加えて、空調を適切に設定し、扇風機などもうまく活用しながら、不快感を感じることなく過ごすことも大切です。
■熱中症対策
プロ野球選手は夏の暑い環境でプレーするため、熱中症のリスクがあります。
熱中症を予防するために、適切な涼しい服装を着用し、帽子や日焼け止めを使用して皮膚を保護します。また、休憩時にはクーリングダウンを行い、体温を下げる努力をします。
熱中症を予防するための情報については、以前のコラムで紹介していますので、ご確認ください。
■ストレス管理
プロ野球選手は数多くのプレッシャーの中でプレーするため、ストレス管理が重要です。 ストレスを管理するためには、リラクゼーション(マッサージ)やメンタルトレーニング、カウンセリングなどの手法を活用することがあります。
また、休息やリフレッシュの時間を確保し、心理的な健康を維持します。
とにかく自分自身の中に、ストレスを溜め込まないようにするための方法を確立することが大切になります。
そもそも暑さに強くなる方法
■暑さへの耐性を上げる
暑さに順応するためのトレーニングは、高温環境下での運動やトレーニングを組み込みます。
選手は適切な服装でトレーニングを行い、熱中症に対する身体の適応を促します。また、適度な水分補給や休息を取りながらトレーニングを行うことも重要です。※適切な服装とは、
■通気性の高い衣服
汗を素早く蒸発させる素材や通気孔のあるデザインの衣服を選ぶことで、体温の上昇を緩和します
■帽子やサングラスの着用
頭部や目を直射日光から守るために、帽子やサングラスを利用します
■冷却アイテムの使用
クールタオルや保冷剤を使用して、体温を下げる効果を得ることができます
というような、自分自身で熱を溜め込まないようにするような服装のことを指します。
またこのようなトレーニングプランは個人に合わせて調整されるべきであり、指導医やトレーナーの指導を受けながら行うことが重要です。
最後に
プロ野球選手が行なっている対策は、意外と皆さんもできそうなものが多かったのではないでしょうか?
トレーニングは少し難しくても、朝早く起きてウォーキングをするだけでもいいかもしれません。
少しずつ暑い夏に順応できるように、対策をとっていきましょう!

MTXアカデミー トレーナー 植松 弘樹
関西学院大学社会学部卒. 大学まで硬式野球を続け、高校では県大会優勝を経験。大学では学生コーチとして、プロ野球選手を輩出した。プロ野球選手の自主トレやシーズン中のサポートを提供中。個々人に合った身体の使い方をはじめ、有益な情報を提供している。
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