筋膜のアプローチについて解説

筋膜は身体全体にわたって張力ネットワークを形成し、すべての器官、筋肉、神経、内蔵などを覆って連結しています。正しくアプローチすることで、今抱えている身体の不調、関節の動きの硬さ、痛みなどを劇的に改善することができます。

目次

  1. 筋膜の構造と働きについて
  2. 浅筋膜について
    1. 浅筋膜に異常がある場合
  3. 深筋膜について
    1. 深筋膜に異常がある場合
  4. これまでの障害歴の重要性
  5. 最後に

筋膜の構造と働きについて

浅筋膜について

浅筋膜は以下の役割を果たしています。

・間質液の調整
・力の吸収
・断熱
・エネルギー源の貯蔵、新生
・血管配列の安定性
・筋の保護機能
・皮膚の張力、弾性特性の制御

浅筋膜に異常がある場合

身体の痛みや関節の動きの制限だけでなく、リンパ管・表在静脈系の障害、体温調整不良、浮腫、皮膚のたるみ、筋力低下などさまざまな不調を起こしている場合があります。

浅筋膜のアプローチ方法として、気になる部位の皮膚をつまみ、コリコリとさせることがおすすめです。 また軽いマッサージや摩擦も有効と言われています。

深筋膜について

深筋膜は以下の役割を果たしています。

・筋/骨/神経/血管の形態維持
・力の伝達
・固有受容器
・バランス感覚
・無意識下での運動協調性
・ヒアルロン酸の生成

深筋膜に異常がある場合

深筋膜に問題が発生すると、慢性的な痛み、筋力の低下、関節の可動域制限を引き起こします。
深筋膜にアプローチする上で最も大切なのが、ヒアルロン酸の粘性を改善することです。

筋膜層の間にヒアルロン酸が存在しております。 そのヒアルロン酸が硬くなることで、深筋膜の滑走不全(筋膜と筋肉の癒着)が起こり様々な症状が発生します。

深筋膜のアプローチは、ナックルや肘などで滑りの悪い方向に動かすとジョリジョリ、ゴリゴリしている箇所に刺激をいれるのがおすすめです。
ヒアルロン酸の粘性は通常、運動やストレッチによって改善されますが、手術、怪我、慢性的な痛み、身体のクセなどにより改善が難しい場合もあります。

この場合、滑りが悪い深筋膜に対して持続的機械刺激を与えることにより深筋膜からヒアルロン酸が生成され筋膜が正常に働くようになります。

これにより筋出力および関節可動域の向上、痛みの改善に繋がります。

これまでの障害歴の重要性

現在、お困りの症状が既往歴(過去の手術、怪我、痛み)の問題により発症しているのではないかと考えたことはありますか?

例えば、腰痛で腰周囲の治療を続けているにも関わらず、良くならなかった経験をされた方も少なくないかと思います。
その症状が既往歴の問題によって引き起こされている場合、改善は難しいかもしれません。

既往歴の問題により現在のお困りの症状が引き起こされている場合、筋膜に対する介入が非常に有効です。

最後に

多くの痛みは組織が構造的に壊れていたり傷ついていない限り、筋膜の問題で症状が起きている可能性が高いです。
慢性的な痛みや身体の不調でお悩みの方は、ぜひ一度当院で筋膜の治療を受けてみてください。

記事監修

MTXスポーツ・関節クリニック 理学療法士 石崎翔大

2011年理学療法士免許を取得。整形外科領域で延べ6万件以上の治療、トレーニングに携わり、日常生活での痛みの改善、オリンピック代表選手などのアスリートの競技復帰をサポート。

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