2023.01.17
テニス肘(外側上顆炎)とゴルフ肘(内側上顆炎)について

肘はスイングや投球を行うスポーツで酷使される関節の一つです。
有名なひじ障害では以前コラムでもご紹介した野球肘もありますが、今回はテニス肘とゴルフ肘について解説いたします。
テニス肘
テニス肘は外側上顆炎とも言い、肘の外側(親指側)に痛みがでます。

解剖
手関節を甲側に返す動きをする筋肉(伸筋群)は全て肘の外側上顆という肘の親指側の部位に付着しています。
受傷メカニズム
テニスのバックハンドではボールを打ち返すストレスに耐えつつ手首を返すため、繰り返し動作で腱(伸筋腱)が骨についている部分に炎症が起きます。
ゴルフ肘
ゴルフ肘は内側上顆炎とも言い、肘の内側(小指側)に痛みがでます。

解剖
テニス肘とは逆に、手関節を手のひら側に返す動きをする筋肉(屈筋群)は全て肘の内側上顆という肘の小指側の部位に付着しています。
受傷メカニズム
右打ちの方では、右手でボールを引っ叩くような打ち方をすると、右手首を曲げる筋肉に負担がかかります(院長も痛めていました)。腰のローテーションを使わない、いわゆる「手打ちスイング」が原因になります。
共通事項
症状
初期はどちらもプレーをしたときのみ疼痛が出現しますが、悪化してくると日常生活でも痛みを感じてきます。治療を行わずに使いつづけていくと、筋肉とその腱が硬くなり、難治性に移行し力を発揮しづらくなります。
診断
エコーで損傷部位の確認をし、血流評価をします。炎症がある部位は血流が増えて見えます。他にも圧痛部位を調べたり、徒手検査と合わせたり、総合的に判断します。
当院での治療
テニス肘、ゴルフ肘ともに手術を必要とする例は稀であり、大抵は保存療法で改善します。
保存療法とは手術などで痛みの原因に直接アプローチをするのではなく、薬物療法や理学療法などで症状改善、緩和を目指す治療方法です。
物理療法+再生医療
当院での特徴的な保存治療として、集束型体外衝撃波と幹細胞上清液注射があります。
慢性炎症で固まってしまった腱付着部を衝撃波で刺激し再生を促し、上清液注射を患部に行うことで炎症を軽減させます。
【関連コラム】
運動療法
運動療法はテニス肘、ゴルフ肘の保存療法には必須です。
理学療法士が担当するFMS診断や医師のSFMA診断により、肘に痛みがあるケースでも実は胸郭(背骨や肋骨)や肩周りに問題があるということが発覚することが多くあります。
当院では理学療法士によるリハビリの他に、家やプレー前後にできるようなストレッチもお伝えします。
【関連コラム】
MTXACADEMYとの連携
怪我を治すことと同じくらいに、怪我の再発を繰り返さないことも大切です。
怪我の再発を繰り返さないためには練習量の調整やフォームの改善が重要になります。
当院はMTX ACADEMYとも連携しており、その中でもプラクティスフィールドという施設では、個人に合わせた身体に負担のかかりにくい正しいスイングの指導しています。
自分の正しいフォ―ムを知ることは、怪我の予防だけではなくパフォーマンスアップにもつながります。
最後に
いかがでしたか?
MTXスポーツ・関節クリニックではこのように治療に取り組んでいます。
また、MTXアカデミーではけがを再発しないように、自分に合ったトレーニングを探すことができます。
まずはお気軽にご相談ください。

記事監修
MTXスポーツ・関節クリニック 院長 富岡 義仁
インディアナ州立大学アスレティックトレーニング学部卒、富山大学医学部卒。
東京警察病院整形外科で臨床に従事しながら、2020年オリンピック選手村ドクターを日本最若手として勤務。
2022年MTX関節クリニック開院を開院し、院長就任。
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