2023.01.31
MTX式コンタクトスポーツ検診について

MTXスポーツ・関節クリニックでは、オリジナルの野球肘検診に引き続き「大好きなスポーツを長く続けてほしい」という想いの下、オリジナルのコンタクトスポーツ検診を開発しました。
本検診はスポーツ全般において、競技者間の接触の度合いを段階付ける際に用いられる「コンタクトスポーツ」という言葉の中で、力を抑制せず相手に直接接触する形式の競技と定義される「フルコンタクトスポーツ」にフォーカスした検診となっています。
コンタクトスポーツとは
コンタクトスポーツとはスポーツ全般において、競技者間の接触の度合いを段階付ける際に用いられる単語でスポーツは下記のように分けることができます。
・フルコンタクトスポーツ:力を制御せずに相手に直接接触する競技
(例)ラグビーや相撲など
・セミコンタクトスポーツ:力を制御した上で相手に直接接触する競技
(例)剣道や空手など
リミテッドコンタクトスポーツ:相手選手と接触することもあるが、基本的には距離をおく競技
(例)野球やサッカーなど
ノンコンタクトスポーツ:相手選手と接触しない競技
(例)水泳やテニスなど
フルコンタクトスポーツのリスク
スポーツは、全力と全力をぶつけ合います。
その中でも特に体と体をぶつけ合うフルコンタクトスポーツは、予期せぬ怪我や事故は起こってしまうことが多いです。
コンタクトスポーツ検診では、事前に自分自身のパフォーマンスの状態を知っておくことで怪我の予防をする、また万が一競技中に危険なコンタクトがあった場合に、いち早く怪我を見抜くことを目的としています。
フルコンタクトスポーツで最も怖い障害について
フルコンタクトスポーツにおいて、最も怖い障害の一つが「脳震盪(のうしんとう)」です。
世界では脳震盪を重度化、障害残置や死に至るケースを削減するために「CRT 5c」というガイドラインがあり、FIFAや五輪で採用しています。
日本でも、各種フルコンタクトスポーツにおいては各連盟がガイドラインを定め、脳震盪の重度化を防ぐ対策をとっています。
脳震盪とは、頭部への激しい衝撃が加わることで起こる、意識消失や記憶障害等の一時的な脳機能の障害です。また、意識がなくならずとも頭痛やめまい、力が出ないといった症状が中心となることもあります。
脳震盪の怖さは一時的な障害に加え、繰り返すと習慣化してしまう点です。
フルコンタクトスポーツでは、脳震盪を起こした状態でプレーが続いてしまうケースもあり、習慣化することが多いとされています。
習慣化することで日常生活に支障をきたすような重度の障害が残ったり、最悪の場合は死に至るケースもあります。
そのため、現場では脳震盪が疑われるプレー、症状が見られた場合には、競技を続行せず十分な休息をとることと、経過観察を行う必要があるのです。
当院のコンタクトスポーツ検診について
当院オリジナルのコンタクトスポーツ検診ではMTXアカデミーと連携して、脳震盪のモニタリングだけではなく、FMS診断を用いた柔軟性テストや筋力測定を行います。
・脳振盪認識ツール(SCAT5)を使用した早期発見
・エコー検診による既往歴のあるケガの重症化、再発防止
・FMS診断を用いた関節の柔軟性と筋力測定
・1repMAX(最大挙上重量)測定、フィールドテストによるパフォーマンス評価
高校生が参加された【アメフト検診】をご紹介
アメフト検診では、上記の検診内容にアメリカンフットボールで重要とされる筋力、パフォーマンスの測定を追加した内容で評価します。
・脳震盪テスト
・肩関節、ハムストリングス、股関節の柔軟性測定
・体幹テスト(ロータリースタビリティ、SEBT)
・1repMAX(最大挙上重量)測定(ベンチプレス、スクワット)
・マシンを用いたタックル力測定
検診結果に応じて必要なストレッチやトレーニングのフィードバックを行い、怪我の予防への寄与も図っています。
また、検診を行いリハビリが必要と判断された選手に対して、各種プログラムを準備しており、復帰までのトータルサポートも行っています。
都立西高校アメリカンフットボール部では既に数名、怪我からの復帰のプログラムでフォローアップしており、順調に回復してより良い状態でプレー復帰できる予定となっています。
最後に
コンタクトスポーツ検診は、選手は自身の強みと弱みを正しく理解でき、監督・コーチは、選手毎の状態や特性を把握することができるため、ポジション適正の把握等、データに基づいたチームマネジメントに繋げることもできる貴重な機会です。
今後はアメフト検診のみならず、「レスリング検診」も企画していく予定です。
大好きなスポーツを長く続けるにあたり、定期的なメディカルチェックやパフォーマンス測定により、自分の状態を正しく把握することはとても大切です。
是非、お気軽にご相談ください。
【関連コラム】

記事監修
MTXスポーツ・関節クリニック 院長 富岡 義仁
インディアナ州立大学アスレティックトレーニング学部卒、富山大学医学部卒。
東京警察病院整形外科で臨床に従事しながら、2020年オリンピック選手村ドクターを日本最若手として勤務。
2022年MTX関節クリニック開院を開院し、院長就任。
最新記事
NEW
-
捻挫を癖づけない為には
運動をしている際の転倒や、日々の生活でつまづいたりして捻挫をすることは珍しくありません。
ただ、捻挫をした際に不適切な対応をすることで捻挫がクセになったり、足首の関節が不安定になる事もあります。
そこで今回は捻挫の基礎知識から捻挫した場合の対応方法、捻挫をクセにしないための対策について解説したいと思います。
2023.03.14
続きを読む
-
凍結肩(五十肩)とサイレントマニピュレーション治療について
凍結肩という言葉を聞いたことある方はあまり多くないのではないでしょうか。
五十肩・肩関節周囲炎と呼ばれる肩関節を包む袋(関節包)の炎症が長引くことで、拘縮し肩が上がらない状態は『凍結肩』と呼ばれます。2023.03.07
続きを読む
-
道具を使わないスポーツの特徴とトレーニング
スポーツは、道具を使用しないスポーツ(陸上、水泳、ボクシングなど)と道具を使用するスポーツ(野球、サッカー、テニス、卓球など)に大きく2つに分類することが出来ます。
『道具を使用しないスポーツ』の特徴としては、競技者が発揮する力がそのまま結果として現れやすいという点です。
そのため、自分自身の力を最大限発揮する術を身につけることが、非常に重要と言えます。
そこで今回は、道具を使わないスポーツの特徴である『力を発揮する事の重要性』に着目して解説したいと思います。2023.02.14
続きを読む
タグ一覧