前十字靭帯損傷(ACL)とは

前十字靭帯損傷(ACL)

膝の前十字靭帯(Anterior Cruiciate Ligament, ACL)損傷はスポーツ障害において非常に頻度の高い怪我です。膝に激痛と腫れがあり、ほとんどの人は歩行が難しくなります。また、膝がカクッとぬけるような感覚(giving way)がでる人もいます。

本コラムでは、その前十字靭帯損傷(ACL)の原因と一般的な治療法、当院での治療方法についてご紹介します。

目次

  1. 前十字靭帯損傷(ACL)の原因と一般的な治療法
    1. 受傷メカニズム
    2. 解剖
    3. 診断
    4. 治療
    5. 手術
    6. リハビリ
  2. 当院での治療
  3. 最後に

前十字靭帯損傷(ACL)の原因と一般的な治療法

受傷メカニズム

受傷要因|前十字靭帯損傷(ACL)|関節の痛みならMTXスポーツ・関節クリニック

バスケットボールやラグビー、アメリカンフットボールなど、ジャンプからの着地や急な方向転換、タックルなどで受傷することが多く、男性よりも女性に多いとされています。また、タックルなどの相手とのコンタクトより、方向転換などのノンコンタクトでの受傷の方が多くみられます。

解剖

膝には大きく分けて以下4種類の靭帯があります。

・膝下(下腿)が前方にずれるのを防ぐ前十字靭帯(ACL)

・下腿が後方にずれるのを防ぐ後十字靭帯(PCL)

・下腿が内側、外側にずれるのを防ぐ外側側副靭帯(LCL)、内側側副靱帯(MCL)

診断

医師による徒手検査の他に、MRIを撮影して診断を行います。受傷後5日以内は疼痛のため正確な徒手検査を行うことが難しく、日を改めての検査を行うことも重要です。

治療

関節外にあるMCL、LCLは血流が豊富であり、手術をせずに保存的に回復していくことがほとんどですが、ACLとPCLは関節内にあり血流に乏しく、自己再生力が低いです。またPCLは単独損傷であれば日常生活にあまり影響がないため、断裂しても手術をせずに様子を見ていく方もいます。

しかし、ACLは保存療法では不安定性が強く出たり、将来の変形性膝関節症につながるリスクがあったりと、デメリットが多くあります。そのため手術加療が第一選択とされています。手術はすぐに行うのではなく、まずはPOLICEで腫れを改善させ、術前のリハビリで可動域と筋力低下を最小限に抑え、受傷後1ヶ月前後での手術となることが多いです。

手術

関節鏡を使用した靭帯再建術=BTB法とST法(もしくはSTG法)が主流です。BTB法は膝蓋骨、膝蓋腱、脛骨を採取し、切れてしまった靭帯の代わりに使用します。ST法は半腱様筋腱、STG法では半腱様筋腱+薄筋腱を同様に靭帯の代わりとして使用します。細かく分類すると様々な手法がありますが、クリニックでは手術ができないため患者さんの状況に合わせ、専門の病院と医師をご紹介いたします。

リハビリ

一般にスポーツ復帰には8〜10ヶ月ほどかかると言われています。強度が高いスポーツ(レスリング、柔道、アメフトなど)ではリハビリ期間が長めに設定されます。可動域訓練からはじめ、徐々に筋力トレーニングやスポーツ特有動作へと進んでいきます。

当院での治療

医師の診察風景|前十字靭帯損傷(ACL)|関節の痛みならMTXスポーツ・関節クリニック

当院では手術加療ができないため、専門施設へご紹介いたします。その後のリハビリが当院の得意分野です。

上記の通りACL再建術はリハビリが長期間にわたりますが、リハビリの保険適用は最長150日間(約5ヶ月)と短く、また一週間でできる回数や時間にも制限があります。日本以外の、アメリカなどのスポーツ先進国では自費診療が基本となりますが、週3−5回のリハビリを基本としているため、復帰までの流れがよりスムーズであったり、より綿密なサポートプログラムを組むことができます。

当院も自由診療の機関であるため、保険の制限を気にせずリハビリを行うことが可能です。スポーツに強い理学療法士や最先端機器のDDシステム、また関連施設のMTXアカデミーにて復帰直前のより強度の高いリハビリ、トレーニングを行うことができます。

また術後の可動域制限には体外衝撃波が有効です。手術後は腫脹や疼痛が出現するため、歩行障害や可動域制限が必発であり、これを解消することがリハビリの第一歩となります。徒手的にこれらの制限を解除することも可能ですが、身体の深部であったり、長期間の運動制限による根深い拘縮はなかなか取ることができません。

集束型体外衝撃波は身体の内部で衝撃を生成し組織に直接アプローチするため、表面の組織に阻害されることなく治療効果を発揮することができます。

尚、まだ研究段階ではありますが、再生医療の注射も術後の腫脹や疼痛の改善に有効な可能性があります。アスリートの方にはPRPもしくはASC、それ以外の方には上清液の注射が使用可能です。

何よりも受傷する前に予防をすることが重要であるため、チームやアスリートに対する予防プログラムの導入や講習を今後の展望としております。

最後に

いかがでしたか?

MTXスポーツ・関節クリニックでは前十字靭帯損傷(ACL)の治療にこのように取り組んでいます。

まずはご相談ください。

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